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スーパーマーケットにおけるポイントカード

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FSPの起源と現状

我が国におけるFSP( Frequent Shoppers Program)の起源は1963年にサービスが開始されたグリーンスタンプにあると言われている。スタンプ方式によるFSPは、近年、IDカード方式に取って変わられている。いまや、ポイントカードの可能性は、IDカード、POSシステムそしてDBMS(Database Management System)によって、画期的に広がっている。

平成29年度スーパーマーケット年次統計調査報告書によれば、スーパーマーケット業態におけるポイントカードの導入率は84.0%に及んでいる。ポイントカードは、主として最寄り品を取扱商品とするスーパーマーケットにとって、既にマーケティングに欠かせない手段となっており、最早差別化の手段ではなく、持たないことが逆差別となっていると言えよう。

一方、購入価格に対するポイント付与率は、通常時平均で0.6%、キャンペーンなどによるポイントアップ企画実施率は94.9%となっている。(同報告書)我が国の主要なスーパーマーケットの営業利益率が2.64%程度(同報告書)であることを想起すると、経営に対する圧迫要因であることは間違いない。ポイントカードを、単にインセンティブによる顧客の囲い込みのための販売促進策として利用することに対しては、費用対効果の問題として厳密に精査されるべきであり、寧ろ逆にポイント・インセンティブをマーケティング・オペレーション・コストと位置づけ、ポイントカードの高度活用を目指す必要がある。

ポイントカードの活用

ポイントカード活用の第一段階は、ポイントカード会員に対する顧客囲い込みを意図したポイント・インセンティブによる販売促進である。第一段階の活用においても、ターゲットとした商圏、顧客属性などを評価する情報を得ることはできる。

第二段階は、顧客セグメンテーションによる顧客ランク別購買商品実績に基づいて購入行動を分析し、棚割商品構成の適正化を図るマスアプローチである。例えば、同一カテゴリー内の商品のカット、サブカテゴリー構成の改定、併買商品の追加などが考えられる。また、RFM(Recency:最新購買日、Frequency:購買頻度、Monetary:購買金額)分析により優良顧客を選別しDMを発行するなど、個別顧客と購買商品を掛け合わせなくても、ポイントカードを活用することができる。

更に、優良顧客の購買履歴データに基づいて、スマートフォン(あるいはレシート)を使って個別のプロモーションをかけることができる。これらは、ID-POSデータ(顧客ID付きレシートデータ)分析によるポイントカード活用の第三段階と言えよう。

ポイントカードによる情報活用の現状

平成29年度スーパーマーケット年次統計調査報告書によれば、ポイントカードによる顧客情報は、多くが氏名、性別、電話番号、年齢(生年月日)に留まっており、家族構成、職業、メールアドレスなどを含む顧客属性データを把握している企業は一般的ではない。

しかしながら、自社独自のポイントカードの普及率は前年対比で6.4ポイントアップの80.6%を占めており、ID-POSデータ分析実施率は前年対比3.0ポイントアップで89.7%に及んでいる。(同報告書、51店舗以上の企業)これらから明確に指摘できることは、ポイントカードの利用は、急速に進展していることである。

一方、ID-POSデータ分析内容は、マスマーケットとしての商圏、顧客属性、売れ筋商品などが一般的で、情報分析が棚割商品構成などに及んでいる企業は半数以下である。(同報告書、51店舗以上の企業)これらの統計からは、未だ多くの企業のポイントカードの活用は第一段階に留まっているものと言える。

また、ポイントカード導入の効果としては、固定客の確保、来店頻度の増加、ポイントアップ時の集客、客単価の増加、買上点数の増加が挙げられているが、ID-POSデータ分析による効果を挙げている企業は半数強に過ぎない。(同報告書、51店舗以上の企業)

ID-POSデータの利用

ID-POSデータを利用する為には、ポイントカード利用率(全取引に対するポイントカードで購買された取引の比率)が70%以上であり、少なくとも性別および年齢を含む顧客属性が90%以上捕捉されていることが必要であると言われている。

ID-POSデータからは、顧客IDを含まないレシートデータでは捉えられない以下の情報を得ることができる。

  1. 同一購入者の重複を除いた、購入者の人数がわかる
  2. 同時併買だけではなく、一定期間内の併買商品がわかる
  3. 同一商品のリピート購入がわかる
  4. 誰が買ったか、だれが(いつから)買わなかったかがわかる
  5. チェリーピッカー(特売の時期にのみ来店し、特売品のみを購入して帰る客)による購入であることがわかる

ポイントカードの高度利用

ポイントカードを、ポイント・インセンティブ中毒によるコスト圧迫要因に陥らせるか、ID-POSデータの高度利用によるより精緻なマーケティング情報までに昇華させるかは、ポイントカードによって得られる情報の活用の仕方にかかっている。そして、後者を選択するのであれば、他社より一歩でも早い着手が望まれる。何故ならば、ポイントカードの高度利用には試行錯誤は不可避であり、一朝一夕に効果を得ることは望めないからである。

以上

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